第78話:営業業績向上と革新的課題の設定と共有

継続的な営業業績向上は、現状の職場課題で目指すべき目的、方向を実現できるかを問い直し、再構築レベルの革新的課題を設定し、これをメンバーが受け入れ内在化すること、上司の信頼が蓄積されていることが重要な焦点と考えます。

継続的な営業業績向上の営業課長・所長に期待される役割は、「円滑な職場運営」を通じて、職場の成果の創出と健全性の維持をすることと職場の環境変化適応への「職場の将来への変革」を進めていくことになります。
営業課長・所長の管理行動は、この一見矛盾するようにも見える2つの役割を両立する
管理者の姿といえます。

「職場の将来への変革」を推進する管理行動のポイントの一は、「革新的課題の設定と共有」です。

今回は、営業職場の営業業績向上と革新的課題の設定と共有について述べてみます。

職場課題は、次の3つのレベルに分類することができます。
(1)現状維持レベル
決められた役割、目標や方法の中で障害を除去し、効率的に仕事を遂行していく課題
(2)現状変革レベル
職場としてより高い成果を上げるため、現状の役割、目標、方法を問い直し、職場の機能を高め職場の現状を変革していく上での課題
(3)再構築レベル
目指すべき目的、方向を改めて問い直し、未来状況をつくり出していくため、これまでの在り方を再構築し、これまでになかった新しい価値を創り出していく上での課題

職場課題の大半は、現状維持レベル、あるいは現状変革レベルとなっていると思われます。これらの課題だけで、職場が目指すべき目的、方向が実現できるかを再度問い直し、再構築レベルの革新的課題を設定します。

革新的課題が設定できたら、これをメンバーと共有することが必要となります。ただし、実際に革新的課題への取り組みを受容させることは、容易なことではありません。
メンバーはすでにさまざまな課題を抱えており、新しい課題に対しては多くの場合消極的なものです。

営業課長・所長が革新的課題を推進していくためには、上層部の承認や関係者の協力を取りつけることはもちろんですが、なんといっても実際に取り組むメンバーの、問題意識を高めることが重要です。
メンバーの問題意識が低いときは、成果を望むことができません。特に、メンバーが課題を押しつけられたものと受け止めた場合は、やる気が低下し、自主的な活動は期待できません。

そのために、営業課長・所長はメンバーが革新的課題を受け入れ、内在化するようにしなければならないのです。

さらに、メンバーに革新的課題を受容させる上で、大切なことは、営業課長・所長が普段から自分の言動の一貫性を、メンバーに示しているという前提です。
上司の言動の一貫性が、説得内容の信頼度を左右すると考えられるからです。
つまり、上司は言行一致を普段からメンバーに示し、信頼を蓄積しておかなければならないのです。信頼が蓄積されていなければ、革新的課題をメンバーに受容させる確率は低くなるということになります。

営業課長・所長は常に「上司としての実質的な価値」を問われています。そのため、営業課長・所長は常にメンバーに、上司たり得ると認められるよう、意識して行動しなければなりません。日常の言動を通じて、メンバーに上司として受け入れられることが必要なのです。

御社の営業課長・所長の革新的課題の設定と共有はいかがですか。
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか。

最後までお読みいただき有難うございました。

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