第69話:営業業績向上と戦略課題の形成

営業業績の向上は、直面型問題への課題対応、発見型問題への課題対応、創造型問題への課題対応などにより適切な戦略課題を形成し、効果的な営業戦略を立案されることが重要な焦点と考えます。

すでに営業課長・所長の効果的な営業戦略の立案のためには、その基盤となる内外の環境分析と戦略課題形成の方法、需要予測と売上実績分析、営業目標の設定の方法について理解を深めることが重要ですと述べました。

今回は、営業課長・所長の営業業績向上と戦略課題の形成について述べてみます。

需要予測や売上実績分析から、自職場の現状の姿が徐々に見えてきます。効果的な営業戦略の立案のために次に重要なのは、「本当の問題は何なのか」「原因は何か」「解決すべき問題は何なのか」といった課題を戦略的に形成することです。

戦略課題形成の要点は、次のようなものになります。

(1)問題と課題を明確に使い分ける

日本語では、問題も課題もほぼ同義に用いられることが多いようですが、これらを混同していては、何をどう解決すればいいのか見えてきません。問題と課題の違いを明確に区別して認識する必要があります。

「問題」とは、営業担当者が日々到達目標の達成に向け努力している中での到達点と現状のギャップであり個人や組織が解決しなければならない事柄をいいます。

これに対して、「課題」とは、たくさんある問題の中で解決しようと意思決定したものをいいます。このように課題とは、数ある問題の中から選んだ「解決すべきテーマ」ともいえ、おのずと解決の方向性が含まれます。したがって課題は、「問題をまとめ、原因を追究し、解決すべきことは何かの判断をしたもの」ともいえます。
ゆえに、問題は「~がなされていない」「~ができていない」という否定的な言い方になるのに対し、課題は「~を確立する」「~の構築」というような肯定的な表現をします。
この中で、自職場が環境変化に対応するために重点的に取り組む課題を「戦略課題」と呼びます。

(2)問題を発生状況から区分する

戦略課題の形成には、問題は何かということをしっかり把握することが大切です。
ここを押さえないと間違った課題形成をしてしまうことになりかねません。

問題は、その発生状況から、3タイプに区分することができます。
①直面型問題
目標達成の過程で一般的に起こる問題で、いわゆる困ったことの発生を引き起こしている状態をいいます。
②発見型問題
これから起こり得る問題を予測することで発見した問題です。まだ表面に出ていない潜在的な問題ともいえるものです。
③創造型問題
「こうありたい」という理想状態や願望的な目標を設定するとき出てくる問題です。

(3)戦略課題の抽出

この3タイプの問題解決にあたって、次のような課題対応が求められます。
①直面型問題への課題対応
現実的な視点での事実把握や冷静な分析による原因追及をしながら、結果を追求する問題解決を行います。分析力や判断力といった能力が求められます。
②発見型問題への課題対応
発見型問題へのアプローチは、現状の改善といえます。問題を起こしている本質や構造的要因の解明、潜在問題の追求、将来の変化予測によって問題解決を図ります。先見性、洞察力、構想力といった能力が求められます。
③創造型問題への課題対応
創造型問題へのアプローチは、自分がこうありたいという理想状態や挑戦的な目標を設定し、創造、革新手段により現状の改善を行っていくものです。目標、手段ともに再設計、革新するという意味で「戦略課題」を形成することといえます。

営業業績の向上は、問題は何かをしっかり把握し、適切な戦略課題を形成して、効果的な営業戦略を立案し、活動が他社より優位に展開されることが重要といえます。

御社の営業課長・所長の戦略課題の形成はいかがですか?
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか?

最後までお読みいただき有難うございました。

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