第70話:営業業績向上と市場細分化とターゲットの設定

営業業績の向上は、市場を何らかの基準で分割し、自社にとって最大の成果が期待できる分野を選択し、効果的な営業戦略を立案することにより、活動が他社より優位に展開されることが重要な焦点と考えます。

戦略課題の形成や目標の設定ができたら、営業課長・所長は、そのゴールに到達するための営業戦略を立案し、何をどのように展開するかという方向性を打ち出します。
営業戦略では、到達したいゴールを攻略するための「対象(ターゲット)」と攻略の「方法」を明確にすることがポイントになります。

今回は、営業課長・所長の営業業績向上と市場細分化とターゲット設定について述べてみます。

市場細分化とは、市場を何らかの基準でいくつかに分割(セグメント)することです。かつて市場が成長期には、大量生産・大量販売による画一的な商品の販売を目的としていたためすべての顧客をターゲットにしていました。
しかし、現在の市場は成熟化し、さまざまな価値観をもった顧客のニーズにより多様化し、従来の手法では、対応できなくなっています。
そこで登場したのが、市場細分化という手法です。市場細分化の基準で分割されたそれぞれの市場は「市場セグメント」と呼び、市場セグメント内はある程度の同質性を持っています。

このような市場細分化を行うメリットには、次のようなものがあります。
①経営資源の適正な配分
限られた経営資源を有効に活用して、より効果的な施策を構築できる。
②顧客ニーズの充足
ニーズの同じ顧客グループに分けることができるので、ニーズに適切な対応が可能となる。
③競争上の優位性の獲得
競争企業と異なった市場、競争企業が参入してこない市場を発掘・発見し、先発優位性を発揮して有効な営業戦略を展開できる。
④市場シェアの拡大
細分化された市場の一つひとつのシェアが向上し、その結果として市場全体の中のシェア拡大が期待できる。

細分化された市場が有効である条件を次にあげてみます。
①測定可能である
設定された市場セグメントの規模と購買力に関する情報が存在し、容易に測定できること。
②到達可能であること
そのセグメントの顧客に対して、広告媒体などを通して容易に接近したり、効果的に到達できる手段があり、商品提供できるチャネルが備わっていること。
③一定以上の規模があること
規模や購買力が、採算に見合うロット数を確保できること。
④実行可能であること
自社が活用できる効果的な経営資源を保有し、計画プログラムを実行できること。

ターゲットの設定にあたっては、自社にとって競争が優位に展開でき、ヒト、モノ、カネといった資源を集中化することで最大の成果が期待できる分野を選択することが重要です。
    
 ターゲットを設定する場合は、次の判断要員を総合的に分析し、状況に応じてターゲットを適切に設定・変更していく必要があります。
①市場規模をどのように判断するか
市場規模は大きいほうが望ましといえるが、大きい市場ほど競争が激しく、安易に参入するとその競争に巻き込まれることにもなりかねない。現時点で市場規模が小さくても、将来的に拡大することが見込まれる市場の方が魅力的であるといえる。
②自社の強みを発揮できるか
自社の強みが、設定する市場において発揮できることが重要である。これが競合企業に負けない競争優位につながる。
③参入障壁は高いか低いか
魅力的な市場で、そこに自社の強みがあると思われても、それ以上に大きな障壁(参入障壁)がある場合は、市場への参入は難しくなる。この判断をしっかりしなければならない。
④競争環境
競合企業がすでに市場での地位を確保している場合には、市場の魅力は相対的に低下する。しかし、自社の施策によって差別化を図れるのであれば、その市場を選択することも考えられる。

御社の営業課長・所長の市場細分化とターゲットの設定はいかがですか?
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか?

最後までお読みいただき有難うございました。

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