第83話:営業業績向上と営業という仕事の管理の課題

営業業績向上の営業という仕事の管理の課題は、仕事の環境や仕事のシステムを整えるといった、ハードウェア、ソフトウェアの管理だけではなく、担当者の内的条件(ヒューマンウェア)を整えるといった管理に焦点を当てることが重要と考えます。

激変する経営環境、厳しさを増す競争環境を受けて各企業はますます経営効率化を図っています。そして、その焦点の1つに営業という仕事の生産性の向上がテーマになっています。
 営業という仕事の生産性の向上においては、「直属上司が行う管理の在り方」が、その成否にとって大きな決め手となると考えられます。

今回は、営業業績向上と営業という仕事の管理の課題について述べてみます。

営業という仕事は「知的労働」といえます。知的労働の特徴は、仕事の遂行方式が、担当する人の問題意識や技術、能力に大きく依存します(担当する人により成果が大きく異なります)。

つまり、知的労働においては、担当者自身の在り方が成果を大きく左右するといえます。もちろん、設備や機器といった「ハードウェア」や手続きやマニアル・ルールといった「ソフトウェア」も成果には影響を与えないわけではありませんが、それら以上に担当者の知識・経験や技術、更には興味や関心や意欲といった「ヒューマンウェア」に大きく左右されるといえます。

例えば、営業においては「売り上げ2億達成」という目標を掲げたとして達成基準は明確ですが、その達成の過程・やり方については担当者の知識・経験・興味・関心に大きく左右される部分があるといえます。何よりもその成果を左右する要因は、担当者の意欲といった心理的要素といえます。
 もちろん、さまざまな販売ツールを整えたり、朝礼や会議を行ったりしながらその達成の過程・やり方を管理しようとしますが、ギリギリのところではその担当者のスキルや意欲といったものに依存せざるを得ない部分が残るといえます。

従って営業担当者に求められるものは、自分の力で勝利を勝ち取ろうとする積極性と基本を踏まえた上で、営業現場においては、担当者本人が状況を判断し、適切な行動を選択する「自律性」「自主性」です。

上司の指示に従って常に決められたやり方に基づいて、確実に自己の役割を果たすといった「役割に対する責任意識」(規定・規範主義)ではなく、「目的に対する責任意識」でなければなりません。「目的に対する責任意識」とは、自らが担当エリアの経営者として、事業家として仕事をする姿勢です。いわゆる「執行責任」ではなく、事業家としての「結果責任」をもって仕事をする姿勢です。

ということは、営業という仕事の管理もそのような管理でなければならないということになります。
 つまり担当者の達成過程・やり方を整えるといった「外的条件(ハードウェア、ソフトウェア)の整備」の管理を行うだけではなく、担当者自らの力で勝利を勝ち取ろうとする積極性と本人が直面する状況を適切に判断し、適切に行動が選択できるようにする、といった本人の「内的条件(ヒューマンウェア)を整える」ような管理です。

管理はどちらかというと仕事の環境や仕事のシステムを整えるといった、ハードウェア、ソフトウェアのコントロールに焦点が当てられるといえます。営業という仕事の管理は、担当者自身のヒューマンウェアに焦点を当てることが求められています。
 つまり、営業管理者に求められる役割は、「目標達成のコントローラー」だけではなく目標達成の「モチベーター」であり担当者の「内的条件を整える教育者」の役割です。

営業という仕事の生産性の向上のために、まず、必要なことは、そのような管理を職場の中に確立することであり、そのような管理のできる営業課長・所長を職場の中に育てることといえます。
 そのような管理のできる営業課長・所長が多くなるほど、営業組織の業績は向上しますし、人的資源開発・組織活性化もなされていきます。

御社での営業という仕事の管理はいかがですか。
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか。

最後までお読みいただき有難うございました。

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