第104話:営業業績向上と職場集団の学習能力
営業マネジャーの自職場の学習能力を高める管理活動には、職場集団の学習能力を高めることと個々人の学習能力を高めることがあります。
今回は、営業業績向上と求められる職場集団の学習能力について述べてみます。
1、職場集団の学習能力の2つの側面
1)メンバーの学習環境としての職場集団の能力
職場メンバーは、上司、先輩、同僚といった人々からなる人的環境、担当職務を中心とした仕事環境、オフィスや仕事のためのツールからなる物理的環境という3つの環境のなかで、学習をしていきます。
こうした環境のなかで、最も影響力をもつのは、何といっても人的環境としての職場集団です。職場メンバーは、集団活動のなかで他の人々を観察したり、あるいいは自分自身のモノの考え方や行動と比較したりしながら社会的な学習を行っていきます。
また、それぞれの職場は、その集団に独自のモノの見方や行動ルールとしての規範があり、メンバーにはそれを受け入れるように圧力がかかります。集団規範が保守的であれば保守的に、革新的であれば革新的に職場集団という環境の在り方いかんで、メンバーの学習の内容が方向づけらます。
2)学習主体としての職場集団の能力
職場集団は、環境とのやりとり(相互作用)を繰り返しながら、適応し成長をしていきます。
例えば、社会環境や市場構造の大きな変動に対しては、活動領域や構造のしくみ換えを行ったり、あるいは機構の改革を行なうことで、意図的に環境への働きかけ方を変え、適応を図っていきます。
つまり、環境の刺激を受けて、自らのモノの見方や考え方の基準(規範)を見直し、より効果的に適応するために行動を変化させます。
学習とは「環境からの刺激(経験)によって起こる認知と行動の変化」とされています。その意味では職場集団の環境適応のプロセスは学習活動そのものです。また、逆に考えれば、職場集団の環境への適応力は、その職場集団のもつ学習能力の在り方によって決まるといえます。
2、職場集団の学習能力の内容
1)既存のモノの見方や考え方の枠組みのなかでの学習活動
職場集団が現在の運営システムや規範(価値と行動の前提となる基準)を維持しようとするとき起こります。
このタイプの学習は、①環境への働きかけの結果として得られた情報を現在の規範(モノの見方や考え方の枠組み)に照らし合わせ、②活動の仕方やその結果が規範から逸脱しているかどうかを判断し、③もし逸脱していれば、それを修正するという形で行われます。
この学習は、現在の規範を絶対の基準とし、その枠内で行動を強化しようとする学習であり、「維持型学習」「業務学習」「パラダイム強化型学習」などともいわれます。
2)環境の要請に応じて職場集団の革新を促す学習活動
「職場集団が、現在所有し、それにさまざまな活動の内容と結果のいかんを照合している価値基準の妥当性を吟味し、それが妥当性を失っている場合には新しいものに置き換える過程」いえる学習活動です。
このタイプの学習は、環境の認知及び解釈の枠組みの変更をともなう活動であり、その結果、新しい意思決定方法や仕事の方法を生み出し職場集団を革新していきます。現在の規範そのものの妥当性の検証まで含めた、より高い次元の学習活動です。
現代の職場集団に対応することが求められている最も基本的で、しかも重要な課題は、変化し続ける環境の動きを敏感に察知し、それに応じて自らの在り方を革新していくことです。
したがって、職場集団の学習能力として要求されているのは、環境の要請に応じて職場集団の革新を促す学習活動を実現し得る能力に対応する内容だということになります。
御社の営業職場集団の学習能力はいかがですか。
そのしくみづくりと運用・機能化はいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがといございました。
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