第15話:営業業績向上と管理者行動

営業業績向上は、管理者の管理行動が個別に働きかける実務中心のマネジメントではなく、職場全体に働きかける管理による管理中心のマネジメントが重要な焦点と考えます。

先日、ご支援先のある販売会社の代表者から、自分の管理行動のあり方についての相談依頼がありました。

指定された時間に、会社にお伺いしますとすでに代表者は、営業担当者と個別面談を行っていました。

大変エネルギッシュに、あそこはどうなった、この件はどうなったなど質問をし、なぜこうなったのか、なぜこうはならなかったのかなど、目標と実績の差異や原因分析を具体的に突っ込んでされ、それはこのようにせよ、これはこのようにやるように、この件は俺が訪問するなど、次の行動への詳細な指示を与えられていました。
担当者の失敗や誤りには、何をしているんだ、だから駄目なんだなど処罰的な言動も見られました。

その担当者の面談が終わりましたら、次の担当者を呼び、同じ様に状況の把握と具体的な指示を与えられていました。

代表者のお話ですと、この販売会社の営業業績は販売会社の中でトップクラスの成績ですが、課題もいろいろあるのでということでのご相談でした。

管理については、営業課長が3人いるが、稼ぎ頭になってもらい、自分が多くはやっている。
主な問題点は、管理者を含めて社員の成長が遅い、全体のモチベーションが高いわけではない、積極性・挑戦性に欠ける、社員の出入りも少なくない、などあり、このままこのやり方を続けてよいか相談したいということでした。

代表者の管理行動を伺ってみますと、担当者に個別に働きかける実務中心のマネジメントで、管理は上からの食い込み型と言えます。

この販売会社は、今の代表者がおられる間はまだしも、いなくなったときは心配になります。また、営業部員が今より多くなったときこのやり方ができるのか、継続して今の営業業績が維持できるのか、など気になるところがあります。

この代表者のような担当者個別に働きかける実務中心の管理者行動の特徴は、担当者別・取引先別の状況をよく把握している、目標達成の課題は自分でつくる、個々人の課題を個人別に伝える、直接的・対面的コミュニケーションをよく行う、頻繁に詳細な指示を与える、意思決定を自分でする、情報は独占しがち、コミュニケーションは伝達型の一方向、担当者の仕事を自分で行うことが多い、失敗や誤りには処罰的な言動が目立つなどが上げられます。

この結果、営業業績は上がってもメンバーの育成や職場活性化などが伴わない、業績中心の管理になってしまいます。

継続的な営業業績向上とメンバーの育成及び職場活性化を統合的に実現する管理者の管理行動は、個別に働きかけるのではなく職場全体に働きかける、実務中心ではなく管理による管理中心のマネジメントが求められます。

やってはいけない管理に、持ち上がり管理があります。これは営業実務の経験で管理をしようとする管理です。
実務で管理しようとしますと個別に働きかけて管理をしようとしますし、自分でやろうとする管理になりがちです。
管理は自分でやることではなく、人を通してやるものです。営業業績は、人を通して上げるものであり、その為には、人が成長したり職場に活力がないと継続な向上は難しくなります。

管理者に求められる管理行動は、担当者に個別に働きかける実務中心のマネジメントではなく、職場全体に働きかける管理による管理中心のマネジメントです。
営業力が極めて高く主導型の管理者に、実務で管理される方がいます。

なお、私どもの体験では、営業業績低迷の管理者は、個別に働きかける実務中心のマメジメントを徹底して行うわけでもなく、さりとて職場全体に働きかける管理による管理中心のマネジメントがなされているわけでもなく、管理者としての権限を発揮していない管理者です。案外このような管理者が多いのが現実ではないでしょうか。

私どもの営業課長・所長の管理行動は、職場全体に働きかける管理による管理中心のマネジメントの仕組みづくりとその運用、機能化です。

御社の営業管理者の管理行動は、いかがですか?
その仕組づくりと有効機能化はうまくいっていますか?

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