第31話:営業業績向上と組織開発

営業業績向上の組織開発は、営業管理者が自身の組織マネジメントにより組織集団や個々人に働きかけ、組織集団の直接的には見えない部分や個々人の心の中の態度をあるべき状態に変革することが重要な焦点と考えます。

前回は、営業業績向上の組織開発と組織づくりについて述べましたが、今回は営業業績向上の組織開発と組織変革について述べてみます。

組織集団の行動変革は、私どもの体験では個々人の行動変革が何人かづつ起き、やがて組織集団全体の行動が変わることです。個々人の行動変革には個人差があり、一度に組織集団全体の行動変革は、起きないと考えています。

個々人の行動変革は、新しい知識や技術を習得することにより、さらにはその人の心の中の態度(その人の信条・思想、価値観、モノの見方・考え方、意識・行動の仕方など)が変わることにより、なされると考えられています。

そして、人の知識や技術は「可変」であり、人の心の中の態度は「難変」といわれています。
しかし、人の集まりである組織集団には、個々人の心に働きかけて心の態度をあるべき状態に変革を促す「影響力ある機能があり」必ず変革できるとされており、このことは私どももよく体験することです。

また、組織集団には見える部分と直接的に見ることのできない部分(隠された部分)があり、組織集団の革新や変革には、目に見えない部分の変革が重要な焦点とされています。
 直接的に見ることのできない部分は、集団で受け入れられている暗黙のルールやタブー、集団内で適切とされているモノの見方・考え方、暗黙の思い込み・信じ込み、メンバー間の実際のコミュニケーションパターン、役割期待・対人関係・勢力関係などがあげられます。

営業管理者が営業業績向上のために組織集団をあるべき状態に変革するためには、自身の組織マネジメントにより、組織集団の見えない部分(隠された部分)や個々人の心の中の態度をあるべき状態に変革することが求められます。
 この組織マネジメントを身につけることが、継続的な営業業績向上の管理者への途といえますが、この組織マネジメントが身についている営業管理者は案外少ないのが現実です。
 営業の第一線で業績を上げた方が管理職になり、どうしても越えなくてはならない壁といえます。

以前、24販社あるメーカーの業績低迷販社(業績は長年ブービークラス)をお手伝いしたことがありました。
 当初、営業管理者の集まりでは、販社の代表者への不満が噴出でした。
 代表者の方は、自身が営業された事業部とは異なる事業部の販社であり、営業実務の体験がないこともありましたし、組織マネジメントについても営業実務型マネジメントでありメンバーにとっては期待しているマネジメントではなかったことによるものであるということでした。

代表者自身も自身の組織マネジメント変革の必要性を感じておられ、私どもがお手伝いした期間中、自ら積極的に参加され、メモも参加者の中で一番とられ、メンバーからは、「これは代表者のためのもの」といわれた程でした。
 その結果、1年目で業績が24販社中10番前半の販社に変革し、3年目には5番以内の販社に変革しました。
 販社のメンバーの中で、毎年何人かづつ行動が変革し、それに伴って業績が向上した結果です。
 また、営業業績が向上すると共に管理者からは代表者への不満が消え、自身のマネジメントに積極的に・挑戦的に取り組むようになりました。

営業管理者の自組織の継続的な営業業績向上の組織開発は、自身の組織マネジメントにより組織や個々人に働きかけて、組織集団の見えない部分や個々人の心の中の態度をあるべき状態に変革することであり、そのための自身の組織マネジメントのあるべき状態への変革です。

私どもの営業課長・所長の管理しくみづくりは、継続的な営業業績向上のための営業管理者の組織変革へのあるべき状態の組織マネジメントの仕組みづくりとその運用、機能化です。

御社の営業管理者の営業業績向上の組織変革マネジメントは、あるべき状態でなされていますか?
そのしくみづくりと有効機能化は上手くいっているでしょうか?

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