第45話:営業業績向上と想いと構想
前回、営業業績の向上は、営業マネジャーがナレッジを蓄積し、新しい価値を再生産するための全体的なしくみを構築して運用していくことが重要な焦点です、と述べました。
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今回は、営業業績向上と「想い」と「構想」について述べてみます。
いくら組織に情報やナレッジがあっても、それを成果に結びつける「想い」と「構想」がなければ大きな成果は生まれません。
何をやりたいのか、何をやろうとしているのかという意図と意思によって、情報やナレッジの扱い方は変わってきます。
自組織は何であるのか。どのような組織になろうとするのか。どんな基本機能で社会に貢献しようとするのか。なぜ、この商品やサービスを提供するのか。同種の商品やサービスと比較して、顧客に対する訴求ポイントはどこにあるのか。どのような考えに立って組織運営を行っていくのか。
- など、自組織について追及していくとき、環境や状況に流され、振り回されることのない、意図をもった活動を行うことができるのです。
ここでいう、「想い」とは、想い入れのことであり、思い込みとは異なります。
思い込みとは、ほかがどうあれ、状況がどうであれ、かたくなに自分の想い構想にこだわる姿勢のことをいいます。
想い入れとは、何かを成し遂げたいという意思や構想をもち、それに関する情報やアドバイスは、積極的に取り組んで活用しようとする姿勢のことをいいます。
「構想」とは、自分の想いを未来に投影して、イメージ化した到達イメージです。
主体性をもって環境にはたらきかけて、形にしたいと願う未来イメージのことです。
組織の行動は、こうありたい、こうなりたいという「想い」や「構想」によってガイドされます。
組織の未来は、想いをベースにした構想の実現をめざして、現在どのような行動をとるかによって決まってくるのです。
未来は、すべて自ら考えた通りにはなりませんが、過去に規定されたり、またその時の状況といったと要素が加味されたりしながらも、一方では自らの想いという主体の意思が加わって、形成されると考えられます。
したがって、構想の質の良しあしが、組織を未来に向けてうまくガイドできるかどうかを左右することになるということになります。
営業業績の向上には、組織としての夢のある、質の高い構想を描く必要があります。
そして、いかに立派な構想を策定したとしても、それが実践に移されなければ、何にもなりません。
どんなにすばらしい構想やその実現のためのシナリオをつくったとしても、職場のメンバーがそれを受け入れなければ実現されませんし、また、一応の賛成が得られたところで、実現のアクションに移されなければ、その実効は期待できません。
エリアマネジャーは、構想の質を高めるために、構想づくりの過程へのより多くのメンバーの参加の機会を積極的に創りだしていく必要があります。エリアマネジャーだけの情報だけでは、不十分です。
また、職場メンバーがそれを理解・納得し、主体的に受け入れ、実践されていくためにも、やはり、多くのメンバーを決定過程に参加させることが、ポイントになります。
決定への参加は、メンバーの満足感を高め、決定内容への抵抗を減少させ、受容を促進します。
さらに、構想づくりは、不確かであいまいな未来に向けて見通しをつけることです。
最終的には、エリアマネジャーが、将来この職場で何を実現し、組織とメンバーにどう貢献していきたいのか、という自分自身の願望と意思にもとづいて決定することです。
以上、営業業績の向上と「想い」と「構想」について述べてみました。
今日の営業環境での営業業績の向上には、エリアマネジャーが、エリア環境の要請に応え続けるために、自分自身の想いをベースにした、夢のある質の高い構想を策定することと、職場メンバーがそれを理解・納得し、主体的に受け入れ積極的に実践されていくことが重要となります。
御社のエリアマネジャーの、マネジメントはいかがですか?
そのしくみづくりと有効機能化は、上手くいっているでしょうか?
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