第47話:営業業績向上と意思決定

営業業績向上は、管理レベルや業務レベルの意思決定を行う際の前提である戦略的意思決定を、営業マネジャーが、適切なタイミングで、適切な内容で行うことにより、職場活動全体が有効に進められ、環境への適応力が常に高められていくことが重要な焦点と考えます。

今回は、営業業績向上と営業組織の意思決定について述べてみます。

意思決定とは、ある目的を達成するために、状況を判断あるいは予測し、いくつかの代替案を考え、しかるべき基準に基づいてそれを評価選択し、その案が本当に目的を達成することが出来るかを再検討する一連の思考と行為のプロセスといえます。

営業職場での活動でいえば、営業マネジャー及びメンバーが、直面する問題を解決するために、状況を判断・予測し、解決のための取り得るさまざまな行動パターンの探索を行い、それらの中から特定の行動を選択していくプロセスということになります。

職場メンバーの日常は、問題解決の連続です。その問題解決の前提には、必ず何らかの意思決定が存在します。
 しかも、それらの意思決定は、個々バラバラに行われるわけではありません。ある意思決定は、それ以前に行われた決定の影響や制約を受けると同時に次の意思決定に影響を与えます。
 職場での組織活動は、相互に共働関係にある人々の意思決定の連鎖の過程あり、その意味で組織は、意思決定のシステムであるといえます。

職場メンバーの活動をまとめあげ、組織全体の活動を有効に進めていく意思決定には、「戦略的意思決定」「管理的意思決定」「業務的意思決定」という3つの異なるレベルがあります。

また、決定すべき問題にも、これまでの経験の蓄積もなく、判断や予測のための情報も十分ではない「構造化し難い問題」と繰り返し性があり、決定の方法や手段も比較的明確な「構造化し易い問題」の2つがあります。

さらに、解決すべき問題の特性に応じて、意思決定のパターにも、標準的な手続きや既存の決定ルールにしたがってルーティン的に行われる「定型的意思決定」と決定ルールそのものを新たに創り出していかなければならないような「非定型的意思決定」というパターンがあります。

職場マネジメントにおける「戦略的意思決定」とは、職場のおかれた環境を解釈し、環境変化に効果的に対応していくための意思決定です。
 これに対し、「管理的意思決定」は、職場をデザインし職場の活動をつくり込んでいくための意思決定です。
 「業務的意思決定」は、業務遂行のプロセスで日常的(ルーティン)に行われるもので、例外事項を除けば、管理者自身が行うよりもそれぞれの業務を担当するメンバーに決定権が委譲される性質のものです。

そして、戦略的意思決定は、管理レベルや業務レベルの意思決定を行う際の「意思決定の前提」であり、職場活動の重点課題やそれぞれのメンバーの日常的な活動を方向づけていきます。
 したがって、営業マネジャーが適切な時期に戦略的意思決定を行わなかったり、あるいは決定の内容が不明確であいまいであったりする場合には、職場活動は方向性を失い、混乱を生じます。

営業マネジャーによる戦略的意思決定のタイミングとその内容が営業業績のあり方を規定するといえます。

また、営業マネジャーの意思決定で「定型的意思決定と革新的意思決定の責任を同時にもつときは、日常的な定型的問題に忙殺されて、中・長期的の環境適応をはかるための戦略的意思決定や革新的意思決定が犠牲になる」という法則があります。

私どもの体験でも、営業マネジャーの意思決定が、定型的意思決定が主になっており、戦略的意思決定や革新的意思決定が十分なされていなかったり、内容が不十分であるために、職場活動全体が有効に進められず環境への適応力が低く、業績が低迷している営業組織が多いといえます。

変化が常態である今日の営業業績の向上は、営業マネジャーの戦略的意思決定権者としての役割の強化がますます重要といえます。

御社の営業組織の意思決定は、いかがですか?
そのしくみづくりと有効機能化は、上手くいっているでしょうか?

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