第48話:営業業績向上と市場シェア

営業業績向上は、市場が低成長期や商品が成熟期にあっては、競合のシェアを喰って自社のシェアを増大することになります。そのためには、中長期の市場シェアの目標値を設定し、どのようにして達成していくかの戦略の立案とその浸透管理が重要な焦点と考えます。

先日、個別相談会でお伺いした企業さんから、市場シェアについてのご質問がりましたので、今回は、営業業績の向上と市場シェアについて述べてみます。

市場シェアとは、ある市場において競合関係にあるすべての会社の販売数量または売上高などの中で、一つの企業が占める割合のことをいいます。

市場シェアを高めることは、結果的に受注増、売上向上、利益増大や財務体質の向上につながることから、経営の目標を達成するための一つの手段といえます。

市場や商品が成長期にあっては、いずれの企業も企業業績を向上させることが可能ですが、市場が低成長期や商品が成熟期にあっては、企業業績は向上する企業(競合のシ
ェアを喰って)とそうでな企業に分かれます(勝ち組と負け組に分かれます)。
 市場が低成長期や商品が成熟期にあっては、市場シェアが重視されます。

しかし、私どもの体験では、会社や営業組織の目標には、市場シェアの目標値はありますが、目標管理は、売上高や利益高で行われていることが多く、市場シェアの目標管理が行われている企業さん、営業組織は意外と少ないのが現実といえます。
 今日の営業業績の向上には、市場シェアの目標管理は、重要と考えます。

市場シェアの目標数値は、次のようになります。

  • (1)74%上限目標値

74%を確保すれば、いかなる戦いも終結する独占しているのと同じ状況で、絶対的に1人勝ちをすることができるシェアであり、市場シェアの最終目標値として位置づけられています。

  • (2)42%安全目標値
     市場シェア42%は、首位独走の条件とされています。ただし、2社間の競争なら74%になります。多くの業界では、5社以上の競合がありますので、42%はダントツのシェアであり、市場主導シェアであり、リーダーシェアになります。

  • (3)26%下限目標値
     26%を確保すれば多くの場合、市場シェアで1位になります。下限とは、1位であればせめて26%は確保すべきシェアであり、安全目標値への最低条件の意味です。

  • (4)20%上限目標値
     20%を確保すれば多くの場合、上位3位以内に入れる地位です。1位との差も逆転可能な圏内になってきます。20%上位の条件で当面目標とすべき数字になります。

  • (5)10%影響目標値
     新製品発売時の当面の目標となることから「10%足がかり」といいます。10%を確保すれば、市場全体に影響を及ぼす力をもつ存在になります。10%の市場シェアの会社の販売政策が他社の業績に影響を与えるようになり、本格的な競争に突入します。

  • (6)7%存在目標値
     シェア7%を超えると市場にその存在が認められ、競合からも注目されます。まだ影響力を及ぼす力はないので、競合を意識する段階ではなく、ひたすら自社製品の普及に取り組む時期です。

  • (7)3%拠点目標値
     3%は市場参入時の参入できたか否かを判断する第一の判断基準です。3%→7%
    →10%が市場参入のマイルストーンです。

市場シェア目標値は、現在のシェア競争上どのように位置づけられるのか、順位とライバルとの差は戦略上何を意味するのかなどの現状分析と市場シェアはいったい何%とればよいのか、短期・中期・長期のシェアアップ目標を策定する際の基準値とします。

市場シェアアップの基本的考え方は、まず、第一目標として「26%」の市場シェアを狙うことです。
 第二の目標は、絶対に強い市場地位に立ち、2位以下を引き離す条件である「42%」市場シェアまで高めることです。

シェア拡大の法則は、自社よりも市場シェアの低い競合企業のシェアを喰うことにあります。戦略は現在の市場シェアによって異なります。また戦略は、地域別、個別的でありその地域における市場シェアパターンによって規定されます。

各営業組織の営業業績向上には、中長期の市場シェア目標値を設定し、達成のための戦略の立案とその浸透管理が重要となります。

御社の各営業組織の営業業績向上の市場シェアの目標管理は、いかがですか?
そのしくみづくりと有効機能化は、上手くいっているでしょうか?

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