第56話:営業業績向上と職場環境

営業業績向上の営業課長・所長の職場環境づくりは、メンバーが目標達成活動からより多くの精神的満足感を得られる環境づくりであり、満足感のトレードオフを調整しつつ、職場全体として個々人の満足度を最大化していく働きかけが重要な焦点と考えます。

アフターコロナの営業職場では、テレワークの導入、オンライン化など働き方の変化により、管理のできている職場とできていない職場では、職場業績に格差が出てきています。営業課長・所長には、管理の力づけが求められています。
管理能力を高めるには、管理の基本をシッカリ身につけることが大切と考えます。

今回は、営業業績向上と営業課長・所長の良好な職場環境づくりについて述べてみます。

クルト・レビンの「場の理論」に、「職場を構成する部下の意欲、能力、そして望ましい職場環境が整ったときに職場の成果は実現するのである」とあります。
つまり、営業課長・所長の職場成果の創出は、部下の意欲が高まり、能力が最大限発揮されるように「良好な職場環境」をつくることにあるといえます。

職場環境をどう見るかは、各人一様ではなく人によって偏りがあるものですが、職場の構成メンバーに影響を及ぼす諸条件には、以下のようなものが挙げられます。

①物理的空間・・・執務スペースの広さ、合理的なレイアウト、温度や照明の適切な管理、休憩スペースの快適性など
 ②職場構造・・・職場の業務をどのような分業方法で分け合うか、どのくらいの難易度の目標を設定するか、権限をどこまで委譲するかなど
 ③職場文化・・・組織の構成メンバーの間でいつしか共有されるに至った「ものの考え方や感じ方」「理想や価値観」「善悪の判断基準」「行動様式、行動習慣」など

  • 職場は、これらが複雑に絡まり合った結果、「働きやすい職場」になったり「そうではない職場」なったりします。

では、職場環境が「良好」であるとはどのような状態を指すかについてですが、「誘因」と「貢献」の関係での観点から説明されています。

「誘因」とは、職場生活から得られるであろう対象であり、欲求充足のための行動を引き起こす要因になるものです。
「貢献」とは、職場の成果を達成するための自分自身が担う目標達成活動のことで、いわば職場に提供する労力、努力と考えてよいものです。

この2つの関係から、良好な職場環境とは、構成メンバー個々人にとって、誘因と貢献が等しいか、誘因が貢献以上と感じられる状態です。
これらの職場は、「努力が報われる」職場、「もっと努力したくなる」職場であり、逆に誘因が貢献を下回ると感じられる状態は、「努力が報われない」職場となります。

従って、営業課長・所長には、構成メンバー個々人が何が誘因として働くかを推し量り、理解に努めることが、職場環境を整える方向性を示してくれることになります。

営業課長・所長が構成メンバーの誘因を考えるとき、ポーターとローラーが提唱した「期待理論」があります。

この理論は、「人は努力して業績を上げれば、その努力水準に応じて報酬を受け取ることを期待する。その報酬が満足に結びつき、それが新たな期待となっていく」という考えです。

受け取る報酬には、給与、賞与、称賛、昇進、昇格など外から与えられるものと仕事での達成感、成長感、満足感、充実感、責任感など、努力の過程または結果より自分から感じたものなどがあります。

営業課長・所長の対象となる構成メンバーの誘因は、給与、賞与、昇進、昇格以外の仕事での達成感、成長感、満足感、充実感、責任感、称賛などの精神的満足感といえます。

そして、これらの精神的満足感は、営業課長・所長が構成メンバー個々人にどのように働きかけるかによって、また職場全体にいかに働きかけるかに左右されると考えられています。

また、これらの報酬は、組織と個人、個人と個人の間ではお互いのニーズがトレードオフの関係になることがあります。営業課長・所長には、組織と個人、個人と個人のトレードオフを調整しつつ職場全体としてメンバーの満足度を最大化していくことが重要です。

以上から、営業課長・所長の良好な職場環境づくりは、構成メンバーが目標達成活動からより多くの精神的満足感が得られる環境づくりであり、組織と個人、個人と個人の精神的満足感のトレードオフを調整しつつ、職場全体として構成メンバーの満足度を最大化していく働きかけを行うことが重要となります。

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私どもの「営業課長・所長の管理、そのしくみづくりから運用、機能化まで」は、上述のような職場環境づくりの考え方に対応しています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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