第57話:営業業績向上とリーダーシップ
すでに述べましたが、営業課長・所長の管理の目的は、内外の環境変化に適応しながら「職場成果の創出」と「職場健全性の維持」といえます。
新型コロナウイルスの感染拡大により営業職場を取り巻く内外の環境が変化している現在、営業課長・所長には、自職場の目的実現に向けての管理力が問われています。
今回は、営業業績向上と営業課長・所長のリーダーシップについて述べてみます。
営業課長・所長の管理とは、「職場の目的を実現するために、諸資源を合理的・効率的・経済的(能率的)に活用する機能」であり、諸資源の中でも最大の価値を持ち、特別な資源である「ヒト」は管理の最重点対象です。
この「ヒト」を動かすために、営業課長・所長が発揮しなければならないのがリーダーシップです。
営業課長・所長に必要なリーダーシップを定義づければ、「職場を、目的に合ったように動かしていくために、メンバーが自主的・自立的に行動を起こすような影響を与えること」となります。
ここで重要なことは、「メンバーが自主的・自立的に行動を起こす」という点です。
メンバーは、管理者としての権限を背景に営業課長・所長の指示・命令には従うものですが、それだけでは自主的・自立的に行動を起こすことにはなりません。
また、自己利益を超越して組織のために貢献するようメンバーに強大な影響を与えることができても、それは単なる「扇動」に過ぎないのです。
営業課長・所長が有効なリーダーシップを発揮するための視点に、リーダーシップ論があります。
今日の営業課長・所長のリーダーシップにとって示唆に富むであろう理論は、「PM理論」「コンテンジェンシーアプローチ」「変革型リーダーシップ」が挙げられます。
①PM理論・・・リーダーがどのように行動するかという「行動論的アプローチ」で、「職場の成果とメンバーの満足度」と「リーダー行動」の関係について研究されたものです。
Pはパフォーマンスの略称で課題達成行動を、Mはメンテナンスの略称で集団維持行動意味します。職場の業績が高くメンバーの満足度も高い職場の管理者は、P行動、M行動を共に高いレベル発揮されているとするのがPM理論の結論です。
②「コンテンジェンシーアプローチ」(SL理論)・・・さまざまな状況要因に適合するリーダーシップスタイルの探索がなされたものです。
SL理論の状況要因は、メンバーの成熟度(能力・意欲)とリーダー行動(課題志向か人間関係志向か)の組み合わせによって、リーダーシップのスタイルを4つに分類したものです。メンバーの成熟度が低い段階では「指示・命令型」、成熟度が増すにしたがって「説得型」→「参加型」→「委任型」と使い分けるのがよいとされています。
③「変革型リーダーシップ」・・・不確実で不安定な時代を迎え、刻々と変化する状況に対応する非定型的な仕事が目立ってきたことから、変革推進への関心が高まり、今日では、リーダーシップといえば、この変革推進型のリーダーシップを指す場合が増えてきています。
変革型リーダーシップを発揮するポイントは、「アジェンダの設計」(営業課長・所長の頭の中にある自らの実行計画で、中長期の職場の方向づけ、中期計画、短期の行動計画など)、「ネットワークの構築」(職場の方向づけの実践を共に推進する人的ネットワークづくり)、「実行」(キーパーソンの自主的な行動)になります。
リーダーシップ論は、それぞれ限界や欠点を持ちつつも、営業課長・所長が日常頻繁に遭遇するであろう、特定の状況・場面において有効なヒントを数多く含んでいます。したがって、典型的なリーダーシップを学習することにより、現状に最適なリーダーシップを身につけていくことが大切です。
以上から、営業業績向上のリーダーシップは、職場メンバーが目的に向かって自主的、自立的に行動を起こすような影響を与えることであり、営業課長・所長が日常頻繁に遭遇するであろう、特定の状況・場面において最適なリーダーシップを身につけていくことが大切といえます。
そして、今日のような環境変化時代のリーダーシップは、職場変革を推進する「変革型リーダーシップ」の発揮が重要な焦点と考えています。
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