第60話:営業業績向上とコミュニケーション
新型コロナウイルス禍によるテレワークの広がりやオンライン化の浸透により、営業課長・所長には、従来以上にコミュニケーション能力が求められています。
職場コミュニケーションは、営業課長・所長が実践すべき管理を実践して職場目的を達成するベースの一つであり、1対1の個人間コミュニケーションと集団のコミュニケーションがあります。
前回は、主として1対1のコミュニケーションについて述べましたので、今回は、集団コミュニケーションについて述べてみます。
営業課長・所長は、職場内に部下同士の効果的な協力関係を構築しなければなりませんが、その関係は単なる協力を超え、その中から新しい成果が導き出され、継続的に革新が起こる創造性を備えた関係であることが期待されます。
職場の集団活動には、大きく分けると2つのパターンがあります。一つはピラミッド型で、もう一つはフラット型です。
ピラミッド型の組織のコミュニケーションは、リーダーの伝達中心、いわば一方向です。一方、フラット型の組織のコミュニケーションは、リーダーを含む全員の間に双方向の情報伝達・交換の経路があります。
「ピラミッド型」の特性
①リーダーが常にいなければならない。
②メンバーは、リーダーの指示、意思決定の範囲で行動する。
③リーダーがいなければ指示命令が来ないので動けない。また、メンバー間に情報伝達のパスがないので情報交換ができず、それぞれが孤立する。
④左右の水平関係より上下の関係が優先される。
⑤各自の仕事は専門化され、役割は規定により範囲が限定される。
⑥集団の能力は、リーダーの能力が限界で、これを超えた活動は出来ない。
「フラット型」の特性
①リーダーは常にいる必要はない。
②リーダーがしばらく不在でも、メンバー同士で情報交換して、孤立することはない。
③メンバーの仕事は、メンバー間の相互作用の中で絶えず調整される。
④上下関係よりは、左右の水平関係が優先される。
⑤コミュニケーションは、全員を含むオールチャネル構造である。
⑥メンバーの専門知識や経験は、共通の仕事への貢献に活用される。
⑦メンバーの仕事は、現実に合った型で全体の状況から決められる。
⑧リーダーの能力を超えた活動ができる可能性がある。
ピラミッド型の組織は、仕事の流れと組織図の役割で規定された範囲内での動きが中心となります。野球チームのように守備の位置と範囲がある程度固定しており、攻守においての役割も決まっていて、主に監督の指示で動く活動パターンによく似ています。
一方、フラット型の組織は、状況に合わせながら課題を中心として動きます。サッカーチームのような状況に合わせたフォーメーション、動きながら判断しタイムリーに指示を出す司令塔、メンバーの自律的判断による自由度の高い動きの活動パターンによく似ています。
フラット型の組織は自由度が高いので、個々のメンバーが孤立せず情報を共有しやすく相互作用による創発現象が起こることで、意図しなかった成果が生まれる可能性が高いといえます。
ただし、ピラミッド型の組織に比べ、フラット型の組織はマネジメントをすることが難しくなります。役割や権限があいまいで、コミュニケーションの流れはヨコ方向が中心であり、指示命令というよりは部下が自主的に判断して動くからです。
今日の経営環境は、状況の変化の速さと複雑さ、移り変わるニーズなど、ボールを追って刻々と変化する環境でプレーするサッカーの試合に近く、このような環境では、どちらかといえばフラット型のような柔軟性とレスポンスの速さを備え活動パターン向いています。
ただし、仕事の特性や職務内容、部下の成熟度(知識、スキル、経験のレベル)などで、パターの適合性は変わってきます。それぞれの活動パターンの特性を理解し、状況や課題により、向き、不向きを判断し、使い分けていくことが必要です。
今日の営業業績向上には、営業課長・所長の状況に応じた役割編成や部下の自律性を高める努力、常に全員のコミットメントを醸成するための求心力ある課題づくり、タイムリーでスピード感ある意思決定、行動が求められています。
そして、コミュニケーションシステムの構築においても、状況に応じた使い分けが求められています。
御社の営業課長・所長の管理での集団コミュニケーションは、いかがですか?
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか?
私どもの「営業課長・所長の管理、そのしくみづくりから運用・機能化まで」の管理における集団コミュニケーションは、上述のような考え方に対応しています。
最後までお読みいただき有難うございました。
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