第106話:営業業績向上と人材開発型リーダー行動
企業組織におけるリーダーシップの目的は、「活動効率の追求」から「人的資源開発」へとシフトしています。環境に対応する企業組織のコアスキルが、プロセス革新の能力からコンセプト革新へと移行し、組織とそこで活動する人々の創造性が強く求められるようになったことがその背景にあるといえます。
今回は、営業業績向上と営業マネジャーの人材開発型リーダー行動について述べてみます。
1)人材開発型リーダーシップへの転換
(1)行動エネルギー結集型のリーダーシップ
かつてのリーダーシップのスタイルは、与件としての「目標や計画」の達成に向けてそれぞれのメンバーの動機づけ、人間関係に配慮した職場集団のモラールを高めることで、その「行動エネルギー」を結集することに主眼がおかれていたといえます。
いいかえれば、人と集団の活動パフォーマンスを極大化していこうとするリーダーシップといえます。
(2)知的エネルギー結集型のリーダーシップ
あいまいで不確実な環境に対応している今日の状況では、組織や集団が解決すべき問題の質そのものが変化しています。これまでのモノの見方や考え方では解の出せない問題も増えています。こうした状況下で求められているのは、個々のメンバーの異質性をそのまま受け入れ、育てることによって、集団のなかで様々な知識やアイディアを生み出す「知的エネルギー」結集型のリーダーシップスタイル、いわば「人材開発型」リーダーシップです。
2)人材開発型リーダーシップに求められる役割と行動
(1)タスククリエーター(自ら仕事を創る)
ある経営学者は、ミドル・マネジャーの仕事への取り組み姿勢には、①公式に決められた職務要件の範囲内だけのことをやる⓶職務の境界を気にかけずに行動する③公式な権限関係をバイパスする④職務と別個の自分なりの企画をもって行動する⑤管理者としての自分の仕事は、自ら積極的に創造する。という受動的な取り組みから能動へと移行する5つの段階があるといいます。
人材開発型リーダーには、職場メンバーの「学習モデル」として、自らの仕事を積極的に創りだす「タスククリエーター」たることが求められるといえます。
(2)信頼蓄積者
今日のミドル・マネジャーには、常に組織や集団の革新の旗手たることが要求されているといえます。
ミドル・マネジャーが職場集団のなかで新たな革新的な試みを行おうとするとき必要不可欠なものは「メンバーからの信頼」です。マネジーは、つねに「職場全体の課題達成に貢献しているという事実」と有能さを示さなければなりません。
こうした事実の積み上げと有能さに対するメンバーの承認が、マネジャーへの信頼となって蓄積され、これまでとは異なる新たな試みへの挑戦を可能とするといえます。集団のメンバーは、新たな試みの中で能力を革新していきます。「信頼蓄積」も、また人材開発型リーダーの必須要件だといえます。
(3)学習促進者としてのり-ダー行動
<職場集団の学習促進への働きかけの例>
①組織全体の課題や戦略方針を伝える
②職場の将来構想を繰り返し伝える
③競合や市場の情報をタイムリーに伝える
④関連他部門との情報交流を促進する
⑤課題討議型のミーティング機会をふやす など
<メンバーの学習促進への働きかけの例>
①挑戦的目標を与える
②思い切って仕事の権限を委譲する
③メンバーの担当する仕事の意義や重要性を伝える
④メンバーの仕事上の責任を明確にする
⑤仕事結果のフィードバックは適宜行う など
御社の営業マネジャーの人材開発型リーダー行動はいかがですか。
そのしくみづくりと運用・機能化はいかがでしょうか
最後までお読みいただきありがといございました。
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