第103話:営業業績向上と学習環境づくり
前回の営業業績向上と営業マネジャーの能力開発課題展開の役割に「学習環境の設計者」をあげました。
今回は、営業業績向上と営業マネジャーの学習環境づくりについて述べてみます。
1)集団能力と個人能力の同時開発
集団の学習能力と個人の学習能力の間には強い相関関係が存在し、相互に影響を及ぼし合っています。
集団の学習能力が低ければ、個人の学習能力の向上は望めず、個人の学習能力が低ければ、集団の学習能力の向上も望めないという関係にあります。
したがって、営業マネジャーの学習環境づくりの重要なポイントは、集団の学習能力と個人の学習能力の双方を同時に能力開発するしくみと活動を職場の中に構築していくことだといえます。
そのためには、チーム編成やメンバーの職務設計の在り方や意思決定のルールやコミュニケーションパターンなど職場全体に手を打ち、集団と個人の学習を促進する方向に再編成していくことが重要といえます。
2)キーパーソンの探索と育成
キーパーソンとは、職場の中で公式・非公式に仕事の進め方や風土の在り方に大きな影響力をもつ管理者以外のメンバーのことです。
キーパーソンは、必ずしも係長、主任、チームリーダーといった公式に権限を付与されたメンバーであるとは限りません。
ベテラン社員やある領域で非常に高い専門性を持ったメンバーなど、現実に職場集団や他のメンバーに影響を与えているメンバーです。
営業マネジャーが公式の階層的権限だけに目を向け注意を怠っていると、現実に職場を動かす影響力を持っているキーパーソンを見失うことがあります。
キーパーソンが職場構想を受け入れ、職場のしくみに納得しているときには、構想の実現に向けた前向きの風土づくりや若手メンバーの指導など、営業マネジャーの代理機能を果たします。
しかし、構想を拒否したり、マネジャーとの間に心理的な葛藤があったりする場合には、集団や他のメンバーの学習能力を低下させます。
営業マネジャーは、職場のキーパーソンを見つけ出し、若手のコーチィングスタッフとして積極的に起用するなどして、その影響力を常にプラスの方向に引き寄せる努力をする同時に、職場の次代を担う中核として育成していく必要があります。
3)能力開発活動の機能と役割のシェアリング
組織のなかで、リーダーとサブリーダーとの間に必ずしも公式的ではない機能や役割の分担が生ずることがあります。学習環境の設計にあたっても、上司とメンバーの間にこうした垂直的な補完関係、つまり機能と役割のシェアリングが必要になります。
これまでの伝統的OJTの発想では、能力開発課題の設定から指導計画づくり、日常的な指導の実践まで、その大半がマネジャーの役割として考えらえていました。
これでは、あまりにもマネジャーに負担がかかりすぎています。多忙なマネジャーの日常を考えると、非現実的とさえいえます。
営業マネジャーは、能力開発課題の設定と学習環境の整備にあたり、日常的な指導の実践はコーチが担当し、メンバーは自分自身の学習計画を立て自律的に学習を進めていくという役割と責任の分担が必要といえます。
御社の営業マネジャーの学習環境づくりはいかがですか。
そのしくみづくりと運用・機能化はいかがでしょうか
最後までお読みいただきありがといございました。
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