第102話:営業業績向上と能力開発課題の展開

営業業績向上の営業マネジャーの能力開発課題の展開を効果的に職場のなかで推し進め、また定着させていくためには「学習環境の設計者」「学習モデル」「学習の促進者」という3つの基本的な役割を確実に果たしていくことが重要な焦点と考えます。

営業マネジャーの能力開発管理には、能力開発課題の設定とその展開管理があります。

今回は、営業業績向上と営業マネジャーの能力開発課題展開の役割について述べてみます。

営業マネジャーが能力開発課題を明確にした後、能力開発活動を職場のなかで効果的に推し進め、また、定着させていくためには、次の3つの基本的役割を確実に果たしていくことが必要といえます。

1)学習環境の設計者
 営業マネジャーの職場目標達成のための能力開発は、職場そのものをメンバーにとっての学習環境としてとらえること、また、メンバーを教えられることによってのみ学ぶ受動的・依存的な存在としてではなく、環境のなかで自ら気づき学ぶ、主体的で自律的な学習者としてとらえることです。
能力開発課題をどれほど精緻につくってもメンバーの経験の場=学習の場としての職場のなかにそれに対応する「能力開発のしくみと活動」がつくり込まれていなければ、意味がありません。
営業マネジャーは、設定した能力開発の重点課題達成に向けて、職場のなかにメンバーの学習を促進するためのしくみと活動をつくり込むこと、つまり学習環境として職場を設計することです。

2)学習のモデルとしての営業マネジャー
 他人の行動をモデルとして人の行動に変化を生ずることを「モデリング」といいます。このモデリングの対象となるのはメンバーにとって自分もあの人のようになりたいと思う(同一視する)人物です。
一般的に、地位が高く、友好的でメンバーに対してより多くの報酬を与えることのできる人物が選ばれる傾向があります。
職場メンバーにとってこうした条件に合うのは、いうまでもなくマネジャーです。メンバーは、日常職場のなかで発生する問題に対して、マネジャーがどのような態度をとり、どのように解決していくか、常に観察しています。
そして、その姿をモデルとして、自分自身の態度や行動を決定していくのです。営業マネジャーは自ら意識するとしないとにかかわらず、日々の活動のなかでメンバーに学習の素材を提供し続けているのです。
営業マネジャーは職場の中心価値を自ら体現するように、つねに行動をチェックし「より良いモデル」となるよう心がける必要があるということはいうまでもありません。

3)学習促進者としての営業マネジャー
 能力開発課題を職場のなかで効果的に展開していくためには、営業マネジャーはメンバーのモデルとなるだけでなく、積極的に職場集団に働きかけその学習活動を促進していく努力が求められます。
そのためには、営業マネジャー自身がこれまでの慣例を打ち破るような斬新なアイディアを生み出し実行に移す、またはメンバーの革新的な提案を取りあげ、その具体化を積極的に支援するなど職場のなかに新たな動きをつくり出していくことです。
こうした新たな試みを実行する過程での試行錯誤の経験がメンバーを刺激し、職場のなかにさまざまな学習成果を蓄積していくのです。
また、営業マネジャーは、個々のメンバーの学習促進にも十二分に気を配らなければなりません。
そのためには、メンバーの能力診断を適切に行い、能力開発課題にふさわしい挑戦的な仕事を割当てたり、その仕事のなかでメンバーの創意が生かせるように、職務設計にひと工夫したりすることが必要です。
また、タイムリーな仕事結果へのフィードバックは学習促進には必要不可欠ですし、思い切ってメンバーに大幅な権限委譲を行い、新しい経験を積ませたり、成功体験を味わせるためにサポートしたりすることも大変重要になります。

御社の営業マネジャーの能力開発課題の展開はいかがですか。
そのしくみづくりと運用・機能化はいかがでしょうか

最後までお読みいただきありがといございました。

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