第84話:営業業績向上と人的資源開発の基本課題
営業課長・所長が限られた経営資源を有効に活用して継続的に営業業績の向上を図るためには、人的資源の質を最大限に高めて、その能力を最大限引き出していくことが必要条件といえます。
今回は、営業業績向上と営業課長・所長の人的資源開発の基本課題について述べてみます。
今日の営業課長・所長の人的資源開発の基本課題は、次のようなことが考えられます。
(1)目標達成管理と人的資源開発の統合
職場の目標達成と人的資源開発は表裏一体の活動です。営業課長・所長がなすべき管理活動のふたつの重要な側面を表しています。つまり、「目標達成管理は同時に人材育成活動であり、人材育成活動は目標達成管理の一側面である」ということになります。営業課長・所長のさまざまな管理行動の中には、常にこのふたつの要素がしっかりと組み込まれていることです。
すなわち、職場で行う人的資源開発は、決して日常の管理活動と切り離されて存在するものでなく、目標達成のためのトータル管理活動の中に組み込まれ統合されてこそ真の成果が期待できるものといえます。
(2)システムアプローチによる管理の実施
日本のミドル・マネジャーは、対面的な直接接触に対する志向が非常に強いといわれています。必要以上に対面的コミュニケーションに依存することは、ミドルだけではなく部下をも疲弊させる一因になりやすいといえます。
ミドル・マネジャーは、「システムによって仕事が進行していくような体制を築くべきである」といえます。
また、今日のミドル・マネジャーには、職場外に目を向けてモノを考えることが要求されています。人材育成活動に限らず職場のマネジメント全般についても、自らの行動だけに頼らずシステム志向でことにあたるべきといえます。
(3)育成すべき人材像と開発すべき能力
今日のような激しい変化の連続の時代に組織が求める人材像を一言で言い表せば、それは「自律的で創造的な問題解決者」といえます。
こうした人材を職場で育成していくためには、職務中心的な発想をもとにした「仕事を遂行する上で必要な基本的能力」の育成だけでなく、「環境変化や周囲からの期待を敏感に感じとり、自ら能動的に問題解決に取り組み周囲の期待に確実に応えていくことのできる能力」の開発が必要です。
(4)メンバーの個性を重視した能力開発
人と組織の創造性が今日の企業の成長と発展の原動力だといえますが、創造的活動は個人の自由闊達な個性の発揮のなかから生まれてきます。また、組織の創造性は、そうした「異質な個性の対立と結合」を通して生み出されてきます。
組織での人材育成を考える場合にも、それぞれのメンバーの特性や持ち味を引き 出す努力が必要です。型ハメ志向の押しつけ型の育成活動ではなく、メンバーの持つ特性や持ち味を引き出す育成の方法を工夫する必要があります。
(5)職場集団全体の能力開発
職場集団はひとつのシステムです。集団の能力が個人能力の単なる足し算ではなく、個人の総和を超えて、より大きな力を発揮するシナジーが集団の中で起こるように工夫していく必要があります。
また、個人の能力が向上してもその能力を職場のなかに取り込むしくみがないかぎりシナジー効果は起こりません。
御社の営業課長・所長の人的資源開発は、いかがですか。
そのしくみづくりと運用、機能化はいかがでしょうか。
最後までお読みいただき有難うございました。
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