第80話:営業業績向上と営業課長・所長の果たすべき役割

継続的な営業業績向上は、営業課長・所長が経営トップや上位者あるいは部下などから期待されるものに、中長期的に継続して応えるために「管理の基本的な役割」と「変化促進のための役割」の両立をすることが重要な焦点と考えます。

昨今の企業を取り巻く環境は、新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナへの侵攻、円安、原材料の高騰など、想定を超える状況にありますが、企業が健全に存続・発展していくためには、取り巻く環境変化に、しっかり適応していくことが必要です。

今回は、営業業績向上と営業課長・所長の果たすべき役割につて述べてみます。

営業課長・所長が経営トップや上位者、あるいは部下などから具体的に期待されるものは、「職場の成果の創出」と「職場の健全性の維持」が考えられます。

営業職場の成果としては、「売上目標の達成」「利益の確保」「顧客の創造」「業務の改善・改革」「組織やメンバーの成長」などがあり、これらは、企業がその目的を実現するために必要不可欠なものであり、営業課長・所長はこれを与えられたノルマではなく、自分への大きな期待として受け止めることが大切といえます。

営業職場の健全性の維持としては、「メンバーが生き生きと仕事に取り組む」「能力を十分に発揮している」「創造的な仕事がされている」「職場内で率直な議論が交わされる」「上司・同僚・部下の階層を超えてお互いに協力し合う」などがあり、営業課長・所長には、成果の創出ばかりに目を奪われることなく、職場を健全な状態に維持することも期待されています。

そして、営業課長・所長にとって大事なことは、これらの期待に中長期的に継続して応えていくことです。しかし、それは優しいことではありません。顧客のニーズの変化、新しい技術やサービスの登場、競合他社の動きの変化など、外部環境は、絶え間なく変化しています。

こうした外部環境の変化には、経営トップや上位者が目標・方針を打ち出すだけでは適応することは出来ません。仕事を通じて多くの情報をリアルタイムで得ている現場が主体的に環境変化を認識し、経験や知識を生かして創意工夫することによって環境適応していくことが欠かせないのです。したがって、営業課長・所長には、外部環境への適応という方向に職場を動かしていくことも期待されているのです。

また、環境変化は、企業の外だけで起こっていることではありません。企業内の職場においても、仕事と働き方の変化、職場メンバーの働く意識の変化などさまざまな変化が生じています。営業課長・所長には、内部環境への適応も期待されています。

このような期待に応えるための営業課長・所長の果たすべき役割には、「管理の基本的な役割」と「変化促進のための役割」があるといえます。

管理の基本的な役割とは、階層組織での管理者層の機能(経営層の決定した内容を具体的にかみ砕き、実行計画を立案し、実行・結果評価の一連の管理活動を推進しながら、業績確保と部下育成を行う)と監督者層の機能(実際の活動全体を俯瞰して、問題点を抽出し、定められた基準で実行できるように維持管理するとともに、必要な改善活動を推進する)と、上下の階層の間をつなぐ「連結ピン」の機能です。

こうした「管理の基本的役割」通じて、営業課長・所長は、職場の成果を創出し、職場の健全性を維持することになります。

しかし、営業課長・所長は、「管理の基本的な役割」を果たす一方で、職場の環境変化への適応も貢献しなければなりません。職場の環境変化への適応は、「変化促進のための役割」です。

管理の基本的役割さえ果たしていれば、職場の成果創出も健全性の維持も可能に思えますが内外の環境変化はそれを許しません。将来への革新を並行して進めていかなければ、職場は環境適応できなくなってしまい、やがて成果創出も健全性の維持も不可能となってしまいます。
 継続的な営業業績向上に営業課長・所長が果たすべき役割は、「管理の基本的な役割」と「変化促進のための役割」を両立することといえます。

御社の営業課長・所長の果たすべき役割の遂行度はいかがですか。
そのしくみづくりから運用、機能かはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき有難うございました。

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