第44話:営業業績向上とナレッジ

営業業績向上は、外部環境からの要請に応え続けるために、新しい付加価値を創造し続けることといえます。そのためには、営業マネジャーがナレッジを蓄積し、新しい価値を再生産するための全体的なしくみを構築し、運用していくことが重要な焦点と考えます。

営業マネジャーが拠点の目標達成のために活用しえる資源は、すでに述べましたが、人、モノ、カネ、などの「物的資源」と技術、ノウハウ、信用、のれん、ブランド、イメージ、ナレッジなどの「情報資源」があります。
 営業マネジャーのマネジメントは、これらの資源をどのように獲得・開発し、また活用するかということが重要となります。

今回は、営業業績向上とナレッジについて述べてみます。

今日の営業環境は、高度化の一途をたどる外部環境からの要請に、現在もこれからも応え続けるために、新しい付加価値を創造し続けることが求められていますが、その価値のベースになるものが「ナレッジ」です。

ナレッジは、一般的には「知識」と訳されており、情報よりも「知恵」に近い概念です。情報は広く流出するものですが、ナレッジは、それが人間に一体化されたもののことであり、環境から得られたデータや事実などのさまざまな情報に人が解釈し意味づけた結果生まれてくる情報とされています。

ビジネスにおける情報は、それ自体としては直接的な価値を持つものではありません。情報はその意味を読み取り、解釈を加えてはじめて意味を持つ情報、つまりナレッジとなり、そのナレッジをアクションに生かすことで成果を生み出します。

したがって、組織に属する一人ひとりが情報に解釈や意味を加えナレッジにすることが重要です。このナレッジの総合力が企業間の格差となって現れることになります。

ナレッジは、組織メンバーの直観やヒラメキあるいはメンバー同士の創造的な対話の中から生み出され、組織全体の成果に大きな影響を与えます。

私どもの体験では、好業績の営業組織では、メンバーや集団の創造性が高く、より多くのナレッジが生み出されます。一方、業績低迷営業組織では、メンバーや集団の創造性が低く、情報のナレッジへの転化があまりされていないといえます。

創造は、知識と知識、情報と情報が組み合わさって起こり、その創造が価値を生み出します。つまり、知識や情報を蓄積・共有し、活用することが新たな価値の創造につながります。

営業マネジャーは、職場に創造をもたらすことができるように、職場全体で知識や情報というナレッジを蓄積し、新たな価値を再生産できるしくみをつくり、運用していくことが求められます。

また、職場にはさまざまなメンバーがおり、それぞれが知識や情報というナレッジを持っています。職場にナレッジを蓄積・共有し、活用するためには、メンバーそれぞれが持っているナレッジを引き出していかなければなりなせん。

ナレッジはメンバー各人が属人的に持っていたのではだめであり、それぞれが持つナレッジが職場で共有化できるように引き出されて初めて活用できるのです。
 ナレッジをメンバー各自から「表出化」させることが必要です。

そして、引き出されたナレッジを職場メンバー全員で活用することで、また新たな価値が生み出されてきます。

営業マネジャーは、メンバーが属人的に持っているナレッジを引き出す機会を意図的につくり出していこことが大切になります。

メンバーから引き出したナレッジを蓄積し、それを職場全体で共有し、職場の誰かが活用する、そして新しいナレッジをつくり出し、蓄積していくという活動をいかに行うかが重要なカギとなります。

継続的な営業業績の向上には、営業マネジャーが、こうしたナレッジを蓄積し、新たな価値を再生産するための全体的なしくみを構築し、運用していくことが重要となります。

御社の営業組織では、ナレッジを蓄積・共有し、活用して新しい付加価値の創造をし続ける活動はいかがですか?
その仕組みづくりと運用軌道乗せはいかがですか?

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